マーケティングという言い訳

とあるSierの営業さんと打ち合わせしたときの話。

30歳半ばくらいの方でしょうか、その方とはとある展示会で知り合ったのですが。
自社のとあるソリューションが売れず、困っているとのこと。
展示会に出展していた私のところのソリューションをご覧いただき、自社ソリューションの現状打開策として、我々のソリューションと、ノウハウが生かせると直感されたそうで、アライアンスについて検討をしてみようことになりました。

で、いざ当日。
当の営業さんと、その上司、そして開発担当の方と面談開始。
ソリューションについては、派手さはないものの、実に真面目に作られている印象。

ひととおり、ソリューションのデモンストレーションを受けた後で、アライアンスに関する話に突入したのですが、とにかくこの上司さんが、否定と反論しかしない。
ビジネスアイディアを出しても、なんだかんだと反論。

部下である営業さんと、開発担当者の眼前で、初対面の人間に対して、後ろ向きなことを言い続けるわけですよ...


『もしかして、貴社のソリューションが売れないのは、売り方の問題ではなくて、マーケティングの問題だと思っていますか?』
思い余って聞いたところ、まさにそのとおりだとの答え。

最初から売れるとは思わなかっただの、まぁさらに口撃はエスカレートすることと相成りました。



かわいそうだよなぁ、部下の方が...
もちろん、開発の人も同様ですが。

運送会社のIT事情

久々のBlog更新になります。

LAMP系Web屋さんをリストラされて9か月。
どうにかこうにか新しい職を見つけることが出来ました。

もともと、このBlogは転職活動のアピールとして利用するために書き始めたもの。転職活動が忙しくなったことと、目的を達成したため、すっかり更新に対するモチベーションが下がっていたのですが....
まぁ、肩ひじ張らず、ぽつぽつと書き続けたいと思います。


さて、自分が転職した先は、運送業向けのソリューションを開発している会社でして。
システム開発は分かっていても、運送業のことは門外漢なため、日々勉強を重ねているところです。

本日は、神奈川県のトラック協会が主催する、中小運送事業者向けのIT事例セミナーに参加。
運送業界における、最新のIT導入事例とやらを拝聴してきたのですが...


もう、たいへんなカルチャーショックを受けまして....
こんなにIT化/システム導入が進んでいない業界とは、思わなかった...

ついこの間まで、Web業界のはしっこにいて、仮にもCSS3がどうとか、HTML5がどうとか、RIAがつまんないとか、やんやわめいていたことを考えると、10年くらい時代を逆行した感じ。


そもそも、運送業界って、環境やら安全やら観点から、さまざまな規制やルールを押し付けられて、否応なしにも業務改善を行わないと、会社の存続にも関わってしまう業界と思っていたのですが、少なくとも中小レベルの運送屋には、その認識は間違っていたようです。


これは...、チャンスですよ。
新天地で働き始めることは、常に刺激と興奮を伴うものですが。
それにしても、楽しみになってきました。

がんばろ!

特許とパートナーシップ

以下、INTERNET watchからの転載→→→
Googleは3日、公式ブログで「Androidソフトウェア特許による攻撃にさらされている」との文章を掲載した。
(中略)

Googleは、「スマートフォン1台あたり約25万件の特許が含まれている可能性がある」としているが、それら特許の多くには「疑問符が付く」「いんちき特許」とも指摘した。それにもかかわらず、ライバル企業はそうした特許を利用してでもAndroid端末を高くしようとし、競争を有利に運ぼうとしていると主張する。

 そして、これらの動きが反競争的戦略であり、「この特許買収が反競争的手段のために買収されたのではないかということに、米司法省が関心を抱いていることに勇気付けられている」としている。また、こうした反競争的戦略は、特許の価値を実際よりも高額に見積もっていると非難。そもそも特許はイノベーションを推奨するためのものだが、近年は「イノベーションを妨げるための武器として使われている」と厳しく糾弾した。
(中略)

 米国議会でも現在、ソフトウェア特許の見直しに関する議論か行われており、今後この分野の特許についてのあり方が見直される可能性も出てきている。その一方で、当然のことながらソフトウェア特許の中には「いんちき特許」ではない高度な技術が含まれているものある。Googleも高度な技術開発を行ない、特許を取得している企業の1つだ。ソフトウェア特許問題自体、米国議会へのロビー活動の一環であるかもしれないことも考慮した上で、古くて新しいこの問題を考える必要がありそうだ。

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110804_465226.html



以前勤めていた会社で経験したことです。
当時、私は新しいソリューションのビジネスモデル構築に従事していました。
私の在籍する会社には、そのソリューションを開発する能力がなかったため、同じようなソリューションを既に持っていて、それを我々のためにカスタマイズすることが可能で、かつ私の在籍会社のブランドで販売を行うことを良しとするベンダーを探していました。

以下は、その候補となった、あるベンダーでの話です。
そのベンダーの持っているソリューション(以下、ソリューションAと表記します)は、確かに我々の目指す新しいソリューション(以下、ソリューションA+と表記します)のベースとして十分なスペックを備えていたのですが、よくよく調べてみると、大きな問題を抱えていました。
というのも、ソリューションAは、海外のとある会社(以下、会社Zと表記します)の特許技術を利用していたのですが、この会社Zが、特許を売買することで収益を確保している様子だったからです。
もともとは、会社Zも、まっとうなソフトウェア開発会社だったらしいのですが、どうやら特許を金儲けに転じることにうまみを覚えてしまったらしく、ネットの世界でもよろしくない評判がたくさん出回っていました。

ソリューションAのベンダーさんは、気まずそうにこのようにおっしゃっていただけたのですが。
「私どもは、ライセンス契約をきちんと締結していますので、ご迷惑をかけることはないはずです....」

特許関係のごたごたに巻き込まれることを懸念し、結局このベンダーさんとのパートナーシップは見送ることとしました。


その後、別のベンダーさん(以下、ベンダーBと表記します)と交渉し、パートナーシップを結びました。
その際、私は会社からソリューションA+でビジネスモデル特許を取得することを命じられました。
その結果、ベンダーBは、自社ソリューションでありながら、私の在籍会社が展開するソリューションA+と同ベクトルのビジネス展開を行うことを封じられてしまうこととなりました。

私の在籍会社が行ったことは、ビジネス戦略としては当然のことかもしれません。
しかし、私はビジネス特許の申請が完了した後で、ベンダーBさんに対し我々がビジネスモデル特許を取得したことを伝えたときの、先方の愕然とした表情が忘れられません。

少なくとも、気持ちよくはなかったですよ、私自身....
だから、というわけではありませんが、私はその会社をわずかな在籍期間で辞めることにしました。


特許というのは、その力が大きすぎるがゆえに、使い手の品性が問われるツールでしょうね。
武器として使えば、きわめて強力なものとなりますし、友好のあかしに使えば、これまた強固なパートナーシップの礎となることでしょう。


Androidが、これからも良質なOSとして、ますますの発展を遂げてくれることを切に願います。

ユーザビリティから考える、ガイドラインの役割 前編

何回かに分けて、ホームページの構築、運用時におけるガイドラインの役割について、お話ししていきたいと思います。
(なるべく、話が難しくならないように頑張ります!)

まず、ガイドラインとはなんでしょう?
Wikipedia では以下のように記載があります。

ガイドライン(英語:guidelines)とは、 ある物事に対する方針についての大まかな指針・指標。ルールやマナーなどの決まり事、 約束事を明文化し、それらを守った行動をするための具体的な方向性を示すもの。 」

ざっと、こんなことを解説していこうと思っているのですが。


今回は、「ユーザビリティ」を例に、ホームページにおけるガイドラインの役割を考えたいと思います。

さて。
ユーザビリティ、最近あちこちで聞かれる言葉ですね。
例えば、近頃のホームページ・リニューアル・コンペでは、まず間違いなく、この言葉がRFP(入札仕様書)に登場することでしょう。
また、日経パソコンなどでは、企業ホームページを対象に、ユーザビリティ・ランキングを定期的に発表していたりもします。

ところで、このユーザビリティについて、明確な規格が存在しないことはご存じでしょうか?
  注記:ここでいう「明確な規格」とは、同じ観察物に対し、異なる観察者が評価を行ったとしても
      誤差の範囲で同じ評価が下すことのできる判断基準としての規格とします。

     

まず、ユーザビリティについて簡単にご説明します。Wikipediaでは、ユーザビリティについて、以下のように説明されています。

ユーザビリティ (英語:usability) とは、use(使う)とable(できる)から来ており「使えること」が元々の意味である。使いやすさとか使い勝手といった意味合いで使われることが多いが、その語義は多様であり、関連学会においても合意された定義はまだ確立されていない。』

詳細はWikipediaをご覧ください。
記載されているとおり、ユーザビリティについては、ISOの中にも、ISO 9126、ISO 9241-11のふたつが存在します。さらに、Webユーザビリティの専門家であるヤコブ・ニールセンの定義についても、(一部勘違いされるケースも多いのですが)ISO 9241-11とは似ているけれども異なるものです。

前述の、
ユーザビリティについて、明確な規格が存在しない』
その理由は以下のとおりです。

  • 規格および参考となる文献が複数あり、かつどれを優先すべきものか、デファクト・スタンダードな見解が認められていないため
  • 数値等による明解な基準が示されておらず、その解釈に複数のバリエーションが発生しうるため

「数値化できない目標は『実行できない』とイコール」と言ったのは、カルロス・ゴーン氏でしたが。
あるホームページについて、ユーザビリティについて、特に後者の数値等による明確な基準が示されていないことは、ユーザビリティ評価(もしくはユーザビリティ診断)を行う上で大きな問題となります。

しかしながら、実際には、「ユーザビリティランキング」なるものは、世間に公開されています。『ユーザビリティについて、明確な規格が存在しない』以上、このようなランキングや、ユーザビリティ診断といったものは無意味(もしくは根拠のない)なものでしょうか?
いえ、それは違います。
なぜならば、ユーザビリティ診断を行うこういった企業の多くは、ISO 9126、ISO 9241-11、もしくはヤコブ・ニールセンの定義を参考に、より詳細に基準をブレイクダウンしたり、各社の見解を加えた独自の評価基準を備えているからです。

例えば、ユーザビリティ診断を行い、ランキングを公表しているところでは、トライベック・ストラテジーや、日経パソコン*1がありますが、その診断項目は、一見大きく異なるようにみえます。
しかしながら、基本となる診断ポイントについては、重なる部分が少なくないこと、そして各々の評価ポイントは、大分類から小分類へとブレイクダウンされており、より客観性をもって診断を行うことができるように(異なる人が診断を行ったとしても、おおむね評価が同じ傾向に固まるように)工夫されています。

このあたり、つまりISOや各社診断基準の関係性を示すと、以下のようになるのでしょうか。

A社は、ISO9126およびISO9241-11およびヤコブ・ニールセンの定義をベースに、ユーザビリティ診断基準を定義。
B社は、ISO9241-11およびヤコブ・ニールセンの定義に、さらに独自基準を追加し、ユーザビリティ診断基準を定義。
C社は、ISO9241-11に独自基準を追加し、ユーザビリティ診断基準を定義。

上記はあくまで例であり、もっと他のパターンもあるかと思います。また私のユーザビリティに対する関係認識を示したものなので、異論がある方もいるでしょう。*2


要は何が言いたいかというと。
ユーザビリティに関して言えば、厳密かつデファクト・スタンダードとなる定義と基準が存在しない以上、独自見解を加えた基準が存在することはやむを得ない。ただし、そうは言ってもまったく独自の基準が許されるのではなく、基本精神(ISO9126、ISO9241-11、ヤコブ・ニールセンの定義を指します)を尊重し、かつ『同じ観察物に対し、異なる観察者が評価を行ったとしても誤差の範囲で同じ評価が下すことのできる判断基準』を行うことができるレベルにまで、ブレイクダウンされたものがないかぎり、それは基準として認めることは難しいということです。


さて。
この、『ユーザビリティ診断を行う診断元が定義したユーザビリティの基準』、これこそがガイドラインに求められるもののひとつであり、ガイドラインの定義の一要素である、『ある物事に対する方針についての大まかな指針・指標』を示すものになります。


ユーザビリティを備えたホームページを目指すことは簡単です。
でも、完成したホームページに対し、何をもって『これは、"ユーザビリティを備えたホームページ"です』と宣言しているのかということを示すは、決して簡単なことではありません。
そのためには、あらかじめユーザビリティに対する定義を決定し、その定義を満たすための条件を明確にしておく必要があります。
その条件が基準(指標)であり、これを記録し、周知させ、そして記録しておくべきものが、ガイドラインになります。


ところで。
冒頭の図表において、指針・指標は、『ホームページ構築時の目標と 深く関係する』と記しました。
逆に言うと、指針・指標は、『ホームページ構築後の運用時に 深く関係する』ことはないのでしょうか。
(ここでいう、『指針・指標』とは、これまで言ってきた『基準』と同義とお考えください)

指針・指標は、ホームページの構築時であろうが、運用時であろうが、常に重要なものであることは間違いありません。
しかし、運用時に指針・指標を常に意識することは現実的には難しく、『ルールや マナーなどの決まり事、約束事』、つまり運用ルールによって作業を規定することで、指針・指標が守ろうとするホームページの品質を守ることを目指す方が、現実的であり効率的であると私は考えています。

例えると。
節電を目的とした場合、下記は基準に相当します。
『事務所内の一時間当たりの消費電力を、10キロワット以内に抑えること』
数値としては明確ですが、これを都度確認することは面倒です。
なので、以下のように、事務所内の社員に通達を出すとします。
『外出時はPCの電源を落とし、また事務所内のクーラーの設定温度は、28度以上にすること』
これがルール(運用ルール)ですね。

次回は、ガイドラインの役割のうち、ルールについて考えたいと思います。


余談:
自転車が好きなんですけどね、私(しつこいですかww)
片山右京さんの主催される『グッド・チャリズム宣言プロジェクト あらかわミーティング』、auの主催した『スマートサイクリングの輪を広げよう!』など、立て続けに自転車(特にスポーツサイクル)と社会の共生を考える場に参加してきました。

考えさせられたのが、マナーとルールの境界。
例えば、ちりちりとベルを鳴らし、歩行者を強制排除(恐喝??)しながら歩道走行をする自転車。ベルを鳴らして歩行者を排除することがマナー違反で、歩道走行がルール違反だと思っている人がいると思うのですが、これは両方ともルール違反(道交法違反)です。
一方、道交法に関する権限を持たない河川管理事務所が決めた、荒川サイクリングロードにおける自転車20km/h速度規制を守らないことは、ルール違反でしょうか、それともマナー違反?

ルールを知らないことは法治国家に生活する者としてNGですが、マナーを守らないことは人としてNGだと最近つくづく思います。

私自身も気を付けよう....

*1:日経パソコンは近年ユーザビリティ固執せず、サイト全体を広い視野で評価したランキングを公表

*2:あくまで私見ですが、ことWebユーザビリティに関する限り、ISO9126が軽視されている傾向があるように思います。しかし、Webアプリケーションや、RIA(リッチ・インターフェイス・アプリケーション)をユーザビリティ診断対象に拡大した場合、ISO9126はもっと尊重されてしかるべきと考えるのは自分だけでしょうか...

企業のTwitterアカウントって、けっこう難しそうな...

最近、企業がTwitterを利用し、プロモーションを行うケースが多々見受けられます。今回は、そのようなプロモーションのうち、企業自身がTwitterアカウントを持つケースについて、思うところを書き連ねていきたいと思います。

私の知る限り、Twitterの企業アカウントは、以下に大別されると思います。

  1. 情報発信型:製品情報、イベント情報などのニュースを発信することを主なTweetとしているケース
  2. 突っ込みTweet型:自社企業や製品、ブランドに対するTweetリツイート(RT)するTweetを繰り返すケース
  3. アイドル型:個人のTweet同様、身の回りの出来事、感じたことなどを発信していくケース


解説します。
1については、自企業の情報をプッシュ型で配信していくものであり、基本的にはメルマガとその発想は変わりません。違うところは、そのニュースに対し、受け手である個人アカウントの反応を、よりダイレクトに受けることができる、もしくは受けざるえない点です。
RTや質問、意見など、さまざまな受け手アカウントのアクションに対し、少なからず対応をする必要が発生します。
手軽に情報発信ができること、そして、情報ソースである自社Webサイトに直接誘導できることは大きなメリットですが、そもそも頻繁に情報発信できるネタが乏しい企業では、運用が難しいのは言うまでもありません。
@mainichijpedit や@Asahi_Shakai などのニュースサイトや、@yahoo_shopping などのショッピングサイトなどには、とても適した形です。東京電力の公式アカウント @OfficialTEPCO や、首相官邸(災害情報)@Kantei_Saigaiなども、このタイプに分類されます。

2については、自社の製品、サービス、活動などについてのTweetを探し、それに対しフォローや拡散をしていくことで、企業プロモーションを行うものです。
例えば、以下のようなTweetがあったとします。
「**(コンビ二名)のチョコマヨネーズおむすび、げてものかと思ったら、超ウマかったよん」
本ケースでは、このようなTweetに対し、例えば以下のようなRTを行うことで、口コミ情報を拡散発信していくわけですね。
これこそ、味のルネッサンスですww RT @sharaneco**(コンビ二名)のチョコマヨネーズおむすび、げてものかと思ったら、超ウマかったよん
最初の発言を能動的に行う必要がなく、言わば突っ込みを繰り返すだけなので、ニュースソースに乏しく、1ができない企業でも実行可能な方法と言えます。
ただし、元となる一般の個人アカウントからのTweetが乏しい場合、突っ込みTweetのやりようがないという大きな欠点があります。
最近、
「**を利用して、その感想をTweetすると、抽選で100名様に**プレゼント」と言ったキャンペーンが見受けられますが、これなどはまさに突っ込みTweetの元ネタを産み出すためのクロスメディア・キャンペーンと言えます。

余談ですが、最近企業のTwitterプロモーションを代行するビジネスがあります。このようなビジネスの場合、多かれ少なかれ、この手法を利用しているケースが多いようですね。

もうひとつ余談。
作家であり、現東京副知事である猪瀬直樹さん @inosenaoki は、自分の著書に対するTweetを大量にRTしています。個人的にはうざいなぁ、と思わないでもないのですが。非常に効果的な宣伝手法であると思います。


さて。
3のアイドル型については、もっとも分かりやすい形ではありますが、もっとも運用がしづらいものかもしれません。
「もっとも分かりやすい」と書いたのは、前述のとおり、Twitterアカウントの活動内容としては、個人ユーザーのアカウントにおけるものとまったく同様だからです。
ただし、3アイドル型Twitterアカウントには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 読んで面白い内容をTweetできること
  • 企業アピールに繋がる情報を、(毎回ではなくとも)発信すること
  • 企業イメージを下げるような、不適切なTweetを絶対に避けること

どれも当たり前のことです。
面白くなければフォローしてくれませんし、企業アピールにつながらなければ、企業アカウントである意味がありません。
議員先生ではありませんが、失言をし、アカウントが炎上でもした日には、プロモーションどころか、逆効果以外の何物でもありません。

つまり、アイドル型企業Twitterアカウントを実現するには、以下の才能あふれたTwitterアカウント管理者が必須なわけですね。

  • ユーモアがあって
  • 世間知にもたけていて
  • ネット世界のルールもよく理解していて
  • フォローワーからの質問や突込みにも、機知にも富んだ返し(RT)ができて
  • 自企業の情報(製品、サービス、事業戦略など)にも精通していて
  • とうぜん、失言などをしない人間性を備えている

書いた私が言うのもなんですが、これは難しい。
こんな優秀な人物は、(言ってはなんですが)通常業務に忙殺され、Twitterアカウントを運用する時間などないかもしれません。
率直、こんな人物を社内から探そうとする段階で、断念してしまう企業も多いのではないでしょうか。

3のアイドル型アカウントを運用するためには、どうすればいいのか。

てっとり早いのは、社長にやらせること。
少なくとも、自企業の情報には詳しいはずですし、何よりもTweetに説得力が増します。
ただ、Tweetに面白みを求めた場合、社長という立場上、軽い発言をしてしまうと、企業イメージにも影響を与える危険性があり、Tweetしにくいケースはあろうと思います。

一方、アカウント管理者を社員に求める場合、メイン担当者とは別に副担当者を複数人用意するべきと思います。
大げさに聞こえるかもしれませんが、企業の公式Twitterアカウントは、ひとつの人格です。その人格を、別の人格を持つ管理者が演じる以上、(失言ではなくとも)企業アカウントとしてふさわしくない、もしくは間違ったTweetをしてしまう危険性は常にはらみます。これを防ぐために、一人の担当者に完全にアカウント運用を丸投げしてしまうのではなく、メイン担当者+副担当者全員で、ひとつの人格(=企業公式Twitterアカウント)を維持運用すべきと考えます。


以下、余談ですが。
とあるクライアントのコミュニティサイトにおいて、管理人アカウントおよび、賑やかし要員として、さくら用アカウントの運用を行ったことがありました。(さくらアカウントについては、あまりほめられたものではないと思うかもしれませんが、コミュニティサイトの発展段階においては必要です)
この時、私がプロジェクトメンバーとともに行ったのは、各アカウントのキャラクター設定を行うことでした。
各アカウントを家族に見立て、管理人アカウントが母親、さくらアカウントAが父親、さくらアカウントBが反抗期の長女、さくらアカウントCが好奇心いっぱいの長男、といった具合です。
管理人アカウントは、優しいお母さんなので、どんな発言にも基本反論はしません。
さくらアカウントCは、好奇心いっぱいな男の子なので、一般ユーザーの発言に対し、質問をしたり、自らも質問を投げかけます。
さくらアカウントBは、反抗期の女の子なので、一般ユーザーの発言に対し、「それって面白いんですか?」のような否定的な発言を行い、さくらアカウントAの父親が、Cの発言をとりなし、コミュニティサイト内の雰囲気を健全に保つ...といった具合ですね。


以上、三つのケースパターンを挙げてみましたが、実際にはそれぞれの要素を必要に応じミックスすることで、適正なTwitter活用プロモーションを実現している企業が多いと思います。


前回の『ツール・ド・フランスTwitter』が...
本Blogの主旨である、『HP担当者のためのヒント集』と大きくかけ離れたので、ちょっとフォローの意味も含め、Twitterの企業アカウント活用について考えてみました。




余談:
大阪府知事である橋下徹さん @t_ishin のTweetを見ていつも思うのですが。
文字数制限内で主張が書き切れないため、連続Tweetをされるケースが多いのですが、あれってTwitterの使い方じゃないと思います。
Blog等にご主張をきちんとまとめられて、その要旨とBlogへのリンクだけをTweetされたほうが良いと思いますよ。
前回書きましたが、"Twitterは『不完全であることを良しとした』情報伝達ツール"であることを理解されるべきかと。

そのTwitterで、『○○新聞の記事は、私の述べたことを間違えて伝えてる!』と主張され、ご自身の主張を分割しTweetされるのは、誤解を深める危険性がある、本末転倒の行為なので、止めたほうが良いです。
誰か側近の方、諭してあげてください...

後、大阪市長:平松さんのことを延々と攻撃Tweetし続けるのも、ご自身の株を下げるかと。

Tweet内容そのものは、とてもためになるし、分かりやすいと思い、私自身応援したい方であるゆえに、ちょっと残念。

ツール・ド・フランスとTwitter

ツール・ド・フランスが終わってしまいました....


私、サイクルロードレースが大好きでして。
春から秋までのシーズンには、JSPORTSのサイクルロードレースに夢中なわけです。とりわけ、ツール(通ぶって、略記させていただきます)、ジロ・デ・イタリア(ヴエルタはあまり好きではない)が始まると、開催期間中21日間、眠い目をこすりながら、夜毎遅くまでTVにかじりつくという日々を過ごし。終わってしまうと、虚脱感に襲われ、むしろ何もする気がなくなるという困った状況に陥るわけです。

今年のツールは、絶対王者アルベルト・コンタドールが早々からタイムロス。
さらに、現アルカンシェルトル・フースホフトやら、フランス人のアイドル:トマ・ボクレールやら、本来ならば、ツール総合優勝争いには縁もゆかりもないはずの(でもキャラクターはすごく濃い)脇役たちが総合争いを盛り上げ...
そして過酷なコースレイアウトの山岳ステージで、挽回を期するコンタドールが捨て身の攻撃。
その攻撃を、宿敵コンタドール打倒に闘志を燃やすアンディ・シュレックが、コンタドールを上回る勇気と破壊力で撃破。
と思ったら、エターナルセカンド(万年二位)と不名誉なあだ名を持ち、実況からは『小さじ一杯の運がない』と散々な言われようのカデル・エヴァンスが、苦節10年、中年の星としてついにツール総合優勝を遂げたと...
まぁ、要は近年まれにみる好勝負が連続したツールだったわけです。

特に総合優勝争いのターニングポイントになるであろうと、事前から予測されていた第18ステージ。
実際、ツールの歴史に残る名勝負が行われたわけですが、この時は、世界中でたくさん人たちが、このステージに対するTweetを残しています。

例えば、本場欧州で戦う土井雪広選手 @YukihiroDoi は、
『今日はガリビエ裏解説でもしちゃおうかな!』
というTweetとともに、実際にレースコースであるガリビエ峠を走った経験と、選手ならではの目線から、まさに裏解説を何度もTweetしてくれて、ファンである我々を盛り上げてくれました。

自分のフォローしている範囲では、残念ながらツール出場を果たせなかったロビー・ハンター選手 @RobbieHunter や、マキュアン会長 @mcewenrobbie らも土井選手同様、ツールの実況を観ながら、選手目線でのさまざまなTweetをしており、お互いに『今の状況どう思う?』的なやり取りをしてましたね。

国内でも、 #jspocycle のハッシュタグで(自分を含め)ファンがめいめいにTweetしておりましたが、その中でも秀逸なTweetを繰り返す @rue_lle さんなど、明らかにTL上でその存在感を増す方々が生まれてきていたのも、この業界の末端にかかわるものとしては興味深いものでした。

ツール・ド・フランスという、とにかく長い(期間も長い、一日のレース時間も長い、そして退屈なレース展開が続く時間帯も長い)スポーツにおいて、Twitterというおもちゃは、実に有効だと思います。レース展開上、放送内容が冗長になり始めると、皆さんTwitter上で遊び始め、来るべき勝負の時間までを有効(...?)に楽しむという、実にユニークな流れがTwitterで実現されたわけです。


ところで。
Twitterでは、気軽に発言が出来るがゆえに、その発言が思わぬ波紋を起こしてしまうことがあります。
例えば、今回惜しくもツール出場を逃した新城幸也選手が、JSPORTSの解説として登場した第4ステージの放送中、新城選手の盟友でもあり、ともにツール出場を過去果たした別府史之選手が、以下のようにTweetしました。
『適当なこと言い過ぎです。』
ちょうど、新城選手がレース中の裏話として、選手たちがレースをしながらレース観戦中の女の子を値踏みをする話をしていたところだったので、私自身、とてもドキッとしました。新城選手の先輩格である別府選手が、新城選手の発言を不愉快に感じたものと思ったのですね。
同様のことをは他の人も感じたらしく、何人かが別府選手のTweetの真意を心配するTweetを繰り返しました。
しばらくのち、別府選手自身から、以下Tweetがあり、ことは杞憂であったことが示されたのですが。
『あれ? 最近のUCIのルールのくだりだったのだけど....』
『ブリュイネール監督とUCIの戦いは長く続いているけど、内容が幼稚すぎて苦笑いのものが多い。』
『それでシワ寄せ食うのは、いつでもチームやスタッフや選手やスポンサー..。』

もうひとつ例を挙げます。
2008年、ツール7連覇を遂げ、一度は引退を表明したランス・アームストロング @lancearmstrong がツールに再び出場を果たしたとき、メディアの取材には対応しないのに、Tweetは繰り返すランスの姿勢が、記者たちから非難を受けたことがありました。
ランスにすれば、レースに集中したいのに、取材対応を行うことは煩わしいうえに、自らの発言を正確に伝えてくれないメディアに対し、嫌気がさしていたことは想像に難くありません。
しかし、メディアサイドからすれば、ランスの『Livestrong』等の社会活動も以前からきちんと報道、アピールに協力してきたにもかかわらず、Twitterという新しい道具を手に入れたとたん、見限られたようにも感じたのでしょう。
加えて、ランスのフォローワーは、今現在でも300万人近くおり、その影響力の大きさから、既存メディアを必要としないのではないかという危惧が生じたものと思います。


Twitterは確かに便利なツールです。
ツールでも、数多くの選手たちがTwitterを利用していて(※フランス人選手はあまり利用しないそうですけど)、ニュースがリリースされる前に、レース直後の選手たちの生の声を確認できることも多くなりました。ファンが直接選手に自分のメッセージを届けることもできて、比較的気軽に返事を返してくれる選手もいます。

Twitterは、ツールに限らずスポーツ・ファンの、スポーツ観戦をより盛り上げてくれるツールであることは間違いありません。

しかし、Twitterは『不完全であることを良しとした』情報伝達ツールであることを忘れてはいけません。
文字制限があり、端切れのコメントしかできないTwitterで、自らの伝えたいことすべてを伝えることなど、できるわけもありません。
例え同じ人物の発言であっても、一部の発言がTL上で省略される可能性のある、細切れTweetをもとに、フォローワーが発言者の真意を完全に理解できていると考えること自体、無理と言えます(危険と言ったほうが正確かもしれません)

見方を変えれば、不完全であることが最大の魅力であるTwitterの姿を理解することなしに、Twitterを過信することは、ユーザーとしてあるべき姿ではないと私は考えます。


話がずれました
というか、本Blogのテーマからずれました

次回、軌道修正ができる...かな...

なぜ、mixiアプリには、バグが多いのか?

すいません、随分と挑戦的なタイトルをつけてしまいましたが...

私自身、『サンシャイン牧場』や、『はじめようマイ・バー』などのmixiアプリを楽しく利用しています。
やり始めると、なんとなく中毒性があるというか...、一日でもログインを怠ると、微妙な罪悪感にさいなまれるのが、なんとも興味深いのですが。

mixiアプリや、GREE、モバゲーなどは、ソーシャルゲームと呼ばれています。
wikipediaには、以下のように説明がありますね。
ソーシャルゲーム(英語: Social Game)は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスSNS)上で提供され、他のユーザーとコミュニケーションをとりながらプレイするオンラインゲームである。』

間接的ではあるものの、友人たちとのコミュニケーションを図ることもできる、これらソーシャルゲーム
ログインしていない友人がいると、妙に心配になったりもします。
この緩やかなコミュニケーション実現が、中毒性の一因かもしれません。

ところで。
仕事柄なのかもしれませんが、mixiアプリを楽しんでいると、そのバグの多さに、いらっとすることがあります。
例えば、『はじめようマイ・バー』の場合。

ゲーム進行自体に問題はありませんが、このように、デザイン・ポリシーが守られていないところなど、かなりいらっとします。
もちろん、このような無害な(...?)バグだけではなく、アプリのコミュニティには、毎日のようにバグ報告がコメントされ続けており、実際にこのよなバグを不快に思い、利用をやめてしまうユーザーも少なからずいるようです。


これは、『はじめようマイ・バー』のみならず、mixiアプリの、特に人気のある育成系ゲーム全般に言えることのように思いますが、一般的なアプリケーションに比べると、バグは確かに多いように思われます。

これは、なぜでしょう?

本Blogでは、ひとつの推論として、mixiアプリのビジネスモデルが、mixiアプリの十分な運用保守体制を維持できるような収益モデルになっていないのではないかという仮説を推定検証したいと思います。


ここでは、『はじめようマイ・バー』の運営会社における売り上げを推定してみました。
各種公開されている統計データなどをもとに、計算してみると、以下のように、一か月あたりの売り上げを、8,503,099円と推定しました。

推定の過程そのものを語るつもりはないので、興味のある方は、どうぞ検証してみてください。
こちらにPDFデータもありますので。


この売り上げをもとに、運営会社におけるコストとプロジェクトの体制を推定してみました。


この想定は、妥当な線かと思うのですが。
約30%の粗利を確保しようとすると、運用保守体制人員として2名程度しか用意できないものと推定します。
実際には、新規開発チームがフォローに回るケースもあると思うのですが、mixiアプリそのもののバグだけではなく、課金アイテムの決済システムに対するバグ、つまり外部システムとの連携のフォロー等も考えてみると、運用保守体制人員:2名というのは、きわめて脆弱な体制と言えます。

乱暴な推測にはなりますが、一日8時間の労働時間のうち、バグの確認(内容把握および現象再現)に1.5時間、各所との調整に1時間、対処方法の検討と決定に1.5時間かかるとすれば、実際にバグ対応を行うのは、4時間程度しかありません。バグ対応においては、コーディング工数の2倍から3倍の時間を検証テストに費やすので、そうなると、本当の意味で、バグ対応のコーディングを行う時間は、一日/一人当たり2時間弱程度でしょう。
このような環境で、2名しか保守運用人員がいないのであれば、バグ対応も追いつかないのは当然かと。


ちなみに。
このように、ある事象を、限られた手がかり(必ずしも正確ではない)を元にシミュレートする考え方を、『フェルミ推定』※と言います。
ある物事の概観をつかむにはきわめて有効な方法で、私もたびたび利用するものです。
なので、上記の推定に間違いがあっても、それはあくまで『推定』でしかないので、怒らないでください(言い訳です...)


さて...
以上のように、mixiアプリを始めとする、ソーシャルゲームについて、下記推論を展開させていただきました。
mixiアプリのビジネスモデルが、mixiアプリの十分な運用保守体制を維持できるような収益モデルになっていないのではないか?

日常的にも、初期コストだけに気をとらわれ、運用コストを考えると、どうにもやりくりが厳しくなってしまう状況というのは、ままあることであろうと思います。例えば、高級車を購入したものの、ガス代、車検費用ランニングコストを捻出するために、安アパートに住んでいる人とか。僕の友人っで、BMWに乗っているものの、洋服にかける金がなく、スーツとパジャマしか持っていないという奴がいましたが。

同様のことは、ホームページやアプリケーション開発、ソリューション導入などでも、ありうることです。
私の経験上ですが、ホームページ・リニューアルの場合、リニューアル公開後、約三ヶ月から半年の間は、頻繁にコンテンツの更新が発生します。
これは、ホームページが新しくなったことにより注目が高まり、社内外からコンテンツに対する様々な指摘が発生することによって、自ずと発生するものなのですが、この費用、つまりリニューアル後のコンテンツ更新費用を予算化していないケースがあります。
もし仮に、更新費用がまったく存在しない場合、せっかくホームページに対する意見を出してくれた社内外の好意を、ホームページ担当者は、すべて無視し、だんまりを決めこむしかない状況に追い込まれます。
これは、ホームページそのものの品質向上の観点からも大きなマイナスですが、せっかく高まったホームページに対する社内の意欲を削ぎ、何よりもホームページ担当者に対する評価を下げてしまいます。

私の場合は、クライアントの状況を判断した上で、ホームページ・リニューアル費用の5〜20%程度を、あらかじめリニューアル後一定期間のコンテンツ更新保守費用として含んだ見積を提案していました。

大きな開発の際には、イニシャル・コストのみを気にしがちですが、必ず運用費用が発生することを留意しなければなりません。アプリ開発、ソリューション導入に関しては、わりにその意識があるように思いますが、ホームページ・リニューアルでも同様であることは意外と忘れられがちではないかと考えます。

もうひとつ。
これは、ホームページ、アプリ開発によらず、制作会社に、運用フェイズでの対応余力があるかどうか、きちんと事前確認しておく必要があります。(特に外注に制作委託をしている制作会社にありがちなことですが、)制作リソースに余裕がないため、開発はできるが、メンテナンス/改修などの対応ができない制作会社というのは、意外に多いものです。

コンペなどを行う際には、運用フェイズでの対応能力も、きちんと制作会社に確認しておく方がよいでしょう。

以上、本blogは、『ホームページ担当者』のお役にたつことを目的としていますので、いちおう(mixiアプリに関する私の推論だけに終始するのではなく)は、担当者の皆様に対するメッセージも付記しました。


余談:
フェルミ推定については、『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミパラドックス』に詳しく書かれています。フェルミ推定とは関係なく、本書は実に興味深い本なので、興味のある方は、ぜひご一読をお薦めします。わたしは、『科学は必然ではない』という項が大好きです。