企業のTwitterアカウントって、けっこう難しそうな...

最近、企業がTwitterを利用し、プロモーションを行うケースが多々見受けられます。今回は、そのようなプロモーションのうち、企業自身がTwitterアカウントを持つケースについて、思うところを書き連ねていきたいと思います。

私の知る限り、Twitterの企業アカウントは、以下に大別されると思います。

  1. 情報発信型:製品情報、イベント情報などのニュースを発信することを主なTweetとしているケース
  2. 突っ込みTweet型:自社企業や製品、ブランドに対するTweetリツイート(RT)するTweetを繰り返すケース
  3. アイドル型:個人のTweet同様、身の回りの出来事、感じたことなどを発信していくケース


解説します。
1については、自企業の情報をプッシュ型で配信していくものであり、基本的にはメルマガとその発想は変わりません。違うところは、そのニュースに対し、受け手である個人アカウントの反応を、よりダイレクトに受けることができる、もしくは受けざるえない点です。
RTや質問、意見など、さまざまな受け手アカウントのアクションに対し、少なからず対応をする必要が発生します。
手軽に情報発信ができること、そして、情報ソースである自社Webサイトに直接誘導できることは大きなメリットですが、そもそも頻繁に情報発信できるネタが乏しい企業では、運用が難しいのは言うまでもありません。
@mainichijpedit や@Asahi_Shakai などのニュースサイトや、@yahoo_shopping などのショッピングサイトなどには、とても適した形です。東京電力の公式アカウント @OfficialTEPCO や、首相官邸(災害情報)@Kantei_Saigaiなども、このタイプに分類されます。

2については、自社の製品、サービス、活動などについてのTweetを探し、それに対しフォローや拡散をしていくことで、企業プロモーションを行うものです。
例えば、以下のようなTweetがあったとします。
「**(コンビ二名)のチョコマヨネーズおむすび、げてものかと思ったら、超ウマかったよん」
本ケースでは、このようなTweetに対し、例えば以下のようなRTを行うことで、口コミ情報を拡散発信していくわけですね。
これこそ、味のルネッサンスですww RT @sharaneco**(コンビ二名)のチョコマヨネーズおむすび、げてものかと思ったら、超ウマかったよん
最初の発言を能動的に行う必要がなく、言わば突っ込みを繰り返すだけなので、ニュースソースに乏しく、1ができない企業でも実行可能な方法と言えます。
ただし、元となる一般の個人アカウントからのTweetが乏しい場合、突っ込みTweetのやりようがないという大きな欠点があります。
最近、
「**を利用して、その感想をTweetすると、抽選で100名様に**プレゼント」と言ったキャンペーンが見受けられますが、これなどはまさに突っ込みTweetの元ネタを産み出すためのクロスメディア・キャンペーンと言えます。

余談ですが、最近企業のTwitterプロモーションを代行するビジネスがあります。このようなビジネスの場合、多かれ少なかれ、この手法を利用しているケースが多いようですね。

もうひとつ余談。
作家であり、現東京副知事である猪瀬直樹さん @inosenaoki は、自分の著書に対するTweetを大量にRTしています。個人的にはうざいなぁ、と思わないでもないのですが。非常に効果的な宣伝手法であると思います。


さて。
3のアイドル型については、もっとも分かりやすい形ではありますが、もっとも運用がしづらいものかもしれません。
「もっとも分かりやすい」と書いたのは、前述のとおり、Twitterアカウントの活動内容としては、個人ユーザーのアカウントにおけるものとまったく同様だからです。
ただし、3アイドル型Twitterアカウントには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 読んで面白い内容をTweetできること
  • 企業アピールに繋がる情報を、(毎回ではなくとも)発信すること
  • 企業イメージを下げるような、不適切なTweetを絶対に避けること

どれも当たり前のことです。
面白くなければフォローしてくれませんし、企業アピールにつながらなければ、企業アカウントである意味がありません。
議員先生ではありませんが、失言をし、アカウントが炎上でもした日には、プロモーションどころか、逆効果以外の何物でもありません。

つまり、アイドル型企業Twitterアカウントを実現するには、以下の才能あふれたTwitterアカウント管理者が必須なわけですね。

  • ユーモアがあって
  • 世間知にもたけていて
  • ネット世界のルールもよく理解していて
  • フォローワーからの質問や突込みにも、機知にも富んだ返し(RT)ができて
  • 自企業の情報(製品、サービス、事業戦略など)にも精通していて
  • とうぜん、失言などをしない人間性を備えている

書いた私が言うのもなんですが、これは難しい。
こんな優秀な人物は、(言ってはなんですが)通常業務に忙殺され、Twitterアカウントを運用する時間などないかもしれません。
率直、こんな人物を社内から探そうとする段階で、断念してしまう企業も多いのではないでしょうか。

3のアイドル型アカウントを運用するためには、どうすればいいのか。

てっとり早いのは、社長にやらせること。
少なくとも、自企業の情報には詳しいはずですし、何よりもTweetに説得力が増します。
ただ、Tweetに面白みを求めた場合、社長という立場上、軽い発言をしてしまうと、企業イメージにも影響を与える危険性があり、Tweetしにくいケースはあろうと思います。

一方、アカウント管理者を社員に求める場合、メイン担当者とは別に副担当者を複数人用意するべきと思います。
大げさに聞こえるかもしれませんが、企業の公式Twitterアカウントは、ひとつの人格です。その人格を、別の人格を持つ管理者が演じる以上、(失言ではなくとも)企業アカウントとしてふさわしくない、もしくは間違ったTweetをしてしまう危険性は常にはらみます。これを防ぐために、一人の担当者に完全にアカウント運用を丸投げしてしまうのではなく、メイン担当者+副担当者全員で、ひとつの人格(=企業公式Twitterアカウント)を維持運用すべきと考えます。


以下、余談ですが。
とあるクライアントのコミュニティサイトにおいて、管理人アカウントおよび、賑やかし要員として、さくら用アカウントの運用を行ったことがありました。(さくらアカウントについては、あまりほめられたものではないと思うかもしれませんが、コミュニティサイトの発展段階においては必要です)
この時、私がプロジェクトメンバーとともに行ったのは、各アカウントのキャラクター設定を行うことでした。
各アカウントを家族に見立て、管理人アカウントが母親、さくらアカウントAが父親、さくらアカウントBが反抗期の長女、さくらアカウントCが好奇心いっぱいの長男、といった具合です。
管理人アカウントは、優しいお母さんなので、どんな発言にも基本反論はしません。
さくらアカウントCは、好奇心いっぱいな男の子なので、一般ユーザーの発言に対し、質問をしたり、自らも質問を投げかけます。
さくらアカウントBは、反抗期の女の子なので、一般ユーザーの発言に対し、「それって面白いんですか?」のような否定的な発言を行い、さくらアカウントAの父親が、Cの発言をとりなし、コミュニティサイト内の雰囲気を健全に保つ...といった具合ですね。


以上、三つのケースパターンを挙げてみましたが、実際にはそれぞれの要素を必要に応じミックスすることで、適正なTwitter活用プロモーションを実現している企業が多いと思います。


前回の『ツール・ド・フランスTwitter』が...
本Blogの主旨である、『HP担当者のためのヒント集』と大きくかけ離れたので、ちょっとフォローの意味も含め、Twitterの企業アカウント活用について考えてみました。




余談:
大阪府知事である橋下徹さん @t_ishin のTweetを見ていつも思うのですが。
文字数制限内で主張が書き切れないため、連続Tweetをされるケースが多いのですが、あれってTwitterの使い方じゃないと思います。
Blog等にご主張をきちんとまとめられて、その要旨とBlogへのリンクだけをTweetされたほうが良いと思いますよ。
前回書きましたが、"Twitterは『不完全であることを良しとした』情報伝達ツール"であることを理解されるべきかと。

そのTwitterで、『○○新聞の記事は、私の述べたことを間違えて伝えてる!』と主張され、ご自身の主張を分割しTweetされるのは、誤解を深める危険性がある、本末転倒の行為なので、止めたほうが良いです。
誰か側近の方、諭してあげてください...

後、大阪市長:平松さんのことを延々と攻撃Tweetし続けるのも、ご自身の株を下げるかと。

Tweet内容そのものは、とてもためになるし、分かりやすいと思い、私自身応援したい方であるゆえに、ちょっと残念。